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日本ケルト学会の公式ホームページです。

 「ケルト学」は古代ギリシャ・ローマの文献で「ケルト人」「ガリア人」などと呼ばれる人々に関連する研究、および18世紀に新しい言語学上の分類名称として登場した「ケルト語」を共通項とする諸地域(アイルランド、スコットランド、ウェールズ、マン島、コーンウォール、ブルターニュ)に関連する諸学の集合体です。ケルト学の研究分野は言語学、文学、文献学、社会学、歴史学、考古学、人類学、民俗学、政治学、美術、音楽などの多方面に及びます。日本ケルト学会はこれらケルト学の諸分野における研究および成果の紹介を推進する一方で、欧米のケルト学やケルト概念の歴史的・批判的検討、さらにはケルト諸語地域の文化と日本文化との比較研究等を行っています。
 主な活動としては研究会、研究大会開催のほか、会員向けに「ニューズレター」(年2回発行)、学会誌『ケルティック・フォーラム』(年1回発行)を配布しています。

 

 

2025年3月15日(土) 14時30分~17時30分

会場:慶應義塾大学日吉キャンパス 独立館D309教室

発表者:中村哲子氏(駒澤大学)
発表タイトル:交錯するアイルランド旅行者のまなざし――ピクチャレスク・カトリック・飢餓
アイルランド旅行ガイドの原点と呼べる刊本、The Post-Chaise Companion が1784年にロンドンで出版された頃には、北部海岸沿いの Giant’s Causewayとマンスターにある Killarneyは、旅人を惹きつける観光地の様相を呈していた。世紀を跨ぐ時期、イギリスからヨーロッパ大陸への旅行が困難となったこともあり、アイルランドが連合王国の一部となる政治的変動を経て、大ブリテン島からアイルランド島へ渡る人々の数は増加し、この見知らぬ土地をめぐる語りは質量ともに増大する。1830年代には、版を重ねるアイルランド旅行記も登場し、1840年代初めには、S. C. Hall夫妻による大部な3巻本も刊行される。そして、旅の語りは、ジャガイモ飢饉の惨状から、飢饉後のアイルランドを模索するものへと引き継がれる。
 本発表では、19世紀初頭から半ば過ぎまでのフィクションとノンフィクションの旅の語りの中から、ピクチャレスクを求めての旅、カトリックの聖地への旅、そして飢餓に関するナラティヴのテクストを抽出し、イギリスからの旅行者、アイルランド在住のアングロ・アイリッシュや農民出身の書き手らによって発信されたアイルランドの姿について考察する。


 

 

2025年度の研究大会は大東文化大学板橋校舎にて開催されます。日程等詳細が決まり次第お知らせします。

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日時:
場所:西南学院大学