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日本ケルト学会の公式ホームページです。

 「ケルト学」は古代ギリシャ・ローマの文献で「ケルト人」「ガリア人」などと呼ばれる人々に関連する研究、および18世紀に新しい言語学上の分類名称として登場した「ケルト語」を共通項とする諸地域(アイルランド、スコットランド、ウェールズ、マン島、コーンウォール、ブルターニュ)に関連する諸学の集合体です。ケルト学の研究分野は言語学、文学、文献学、社会学、歴史学、考古学、人類学、民俗学、政治学、美術、音楽などの多方面に及びます。日本ケルト学会はこれらケルト学の諸分野における研究および成果の紹介を推進する一方で、欧米のケルト学やケルト概念の歴史的・批判的検討、さらにはケルト諸語地域の文化と日本文化との比較研究等を行っています。
 主な活動としては研究会、研究大会開催のほか、会員向けに「ニューズレター」(年2回発行)、学会誌『ケルティック・フォーラム』(年1回発行)を配布しています。

 

 

2026年3月7日(土) 14時30分~17時30分

https://www.kanagawa-u.ac.jp/access/minatomirai/

会場:神奈川大学みなとみらいキャンパス  3階3007教室
※みなとみらいキャンパスの正面ゲートから入って頂きましたら、目の前の受付で「3007教室で開催される研究会に参加する」旨伝えて、入構証を受け取って下さい。その後エスカレーターで3階にあがり、左手目の前にある3007教室においで下さい。

発表者:ナタリア・ペトロフスカイア氏(ユトレヒト大学)
発表タイトル:マビノギオン集合
概要:「マビノギオン集合」とは中世ウェールズの物語「マビノギ四枝」における物語の構成のことを表す。「集合」は数学分野の集合論から借りた言葉であり、今回は「マビノギ四枝」の構成の形を示す。今回の発表ではこの中世ウェールズの物語の独特な形の特徴を明確にする。以前から中世ウェールズの物語には物事が三回述べられることが知られていた。しかし、今回はこの現象はもっと複雑であり、フラクタルであることを説明する。フラクタルは数学用語で、自己相似のある現像を示す。今回の発表は近刊『マビノギオン集合』(原題The Mabinogion Set:The Fractal Structure of the Four Branches of the Mabinogi,ウェールズ大学出版局)に基づく。


 

 

2026年度の研究大会は10月17日・18日に福岡女学院大学にて開催されます。
現在、研究大会での発表を募集しています。発表を希望される方は、小池剛史・来年度代表幹事宛に5月23日(土)までにお申込みください。また、発表を希望する学生会員には旅費の補助制度があります。詳しくは2026年2月3日付け会員メールをご参照ください。

プログラムはこちら

 

九州支部研究会のお知らせ

日時:2026年3月15日(日曜日)14:30~17:30
 (日曜開催のため、教室は14:00から使用可能となります。)
場所:西南学院大学 本部キャンパス 1号館205号教室
第1報告
論題:「北アイルランドにおけるポーランド人移民に対するヘイト・クライム」
報告者:塚崎香織氏(佐世保工業高等専門学校)
要旨:北アイルランドでは、2004年のポーランドのEU加盟後、ポーランド人移民の流入が始まり、現在までに移民の最大グループとなっている。歴史的にカトリック系住民とプロテスタント系住民の対立が見られる北アイルランドでは、カトリック系であるポーランド人移民に対して、プロテスタント系住民による数々のヘイト・クライムが行われ、2016年の英国のEU離脱決定後に激しさを増した。2023年には、英国に押し寄せる不法移民の規制をきっかけに、北アイルランドを含む英国全土で移民を標的としたヘイト・クライムが噴出した。
 2024年北アイルランドでは、移民に対するヘイト・クライムの数が、党派違いによる犯罪の数を初めて抜いた。小論では、ポーランド移民に対するヘイト・クライムに焦点を当て、北アイルランドの多文化共生の問題について考察したい。

第2報告 
論題:「レオポルド・ブルームの「興味深い地区」」
報告者:安井誠氏(宮崎産業経営大学)
要旨:本発表は、ダブリン出身の作家ジェイムズ・ジョイス(James Joyce, 1882-1941)の代表作『ユリシーズ』(Ulysses, 1922)第15挿話において、主人公レオポルド・ブルームが述べるせりふに着目し、その多義的な意味合いについて解釈する試みである。場所はアミアンズ通り駅(現在のコノリー駅)西側、当時「モント」と呼ばれていた娼婦街で、時刻は午前0時前後。『ユリシーズ』のもう一人の主人公スティーヴン・ディーダラスを追いかけてこの場所にやってきたブルームは、知人に話しかけられて「興味深い地区ですね。堕落した女性たちの救済。マグダレン収容施設」と言う。本発表はこの3つの名詞句に焦点を当てる。
 『ユリシーズ』は1904年6月のダブリンを文化的にも歴史的にも忠実に再現して作られた作品である。したがって「マグダレン収容施設」もこの娼婦街の中に実際に存在していたし、「堕落した女性たち」を「救済」することが目的だったのも事実である。ブルームがこの後向かうことになるベラ・コーエンの娼家も当時実在していた。そのようなリアリスティックな界隈において、シンボリックな登場人物であるブルームが述べる「興味深い」という言葉には様々な意味が込められているように思われる。
 発表前半はブルームのせりふの中の2つ目と3つ目の名詞句に焦点を当てる。すなわち、「堕落した女性たち」とは誰のことなのか、「マグダレン収容施設」の実態はどうだったのか、「堕落した女性たちの救済」とはどういう意味だったのか等について、当時の歴史的背景を元に整理する。それらを踏まえ、発表後半ではブルームのせりふの1つ目「興味深い地区」に着目する。まず、「堕落した女性たちの救済」をする「マグダレン収容施設」があるこの界隈が「興味深い」とはどういうことなのか、ブルーム自身が被る抑圧と関連づけて議論する。その上で、ジョイスの他の作品の登場人物も取り上げ、筆者ジョイスはこの「夜の町」でブルームを通して何を伝えたかったのか、そのメッセージを探ってみたい。